政治・まちづくりを、もっと僕らの近くに。〜2012年の振り返りと決意


2012年も、間もなく終わろうとしています。年の瀬には珍しく雨模様ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

月日が経つのは早いもので、議員になって1年9ヶ月が経ちました。

ブログを読み返すと、昨年のちょうどこの日に議員としての振り返りをしているので、これを「恒例」にします。これから政治の場で実現したいことも含めて、ちょっと気合いを入れて書いてみようと思います。
Cf. 昨年のエントリー:「博報堂を辞めました。政治を始めました。〜2011年の振り返りと決意」

■これまでに、実現したこと。
私はこれまで、「『社会のために何かしたい』と考える多くの人々と意見を出し合い、アイディアでまちを動かす」ことを行動指針において活動してきました。そして、幸いにも多くの賛同者を得ることができ、お陰さまでたくさんのことを実現することができました。

選挙の時に掲げた「港区を良くする20のアイディア」の中では、特に、「6. ランナー&自転車専用レーン」。放置自転車を減らして快適な歩行空間を保つため、発展させて提案した「自転車シェアリング」は、既に実施されています。今年始まった社会実験を受け、来年度以降に本格化する予定です。(因みに、このアイディアは、港区に在住・在勤・在学の人を中心に集まって、港区を更に良くする政策を考える場:「みなトーーク」で膨らませたものでした。)

また、「10. やんちゃし放題の公園」。これは、地域の大人みんなが見守りつつも「自分の責任で自由に遊ぶ」、新しい形の公園づくりを目指したものです。今年、高輪森の公園、芝浦プラタナス公園、白金台どんぐり児童遊園で試験的に開催され、来年以降の本格実施に向けて動き出しています。

「11. ITパーク」については、東日本大震災時に電話がつながらなかった一方、ツイッターなどのソーシャルメディアで連絡を取り合うことができた経験等の視点からたびたび提案してきましたが、ついに先日「港区地域防災計画」の中に文言が入り、区有施設への無線LAN機器「Wi-Fi」の設置が決まりました。

その他、「2. 青空議会」では、議会へのインターネット生中継の導入と、区民からの声とそれに対する行政の回答を透明化するシステム「区民の声データベース」が実現、「3. 総合的な震災対策/老若男女、みんなが参加しやすい防災訓練」では、これまで様々な項目について提案・実現してきたのに加え、(→こちらのエントリーもご参照ください:「これからの防災対策に関する8つの提案」)「サバイバルする個人」と「災害時に助け合えるコミュニティ」づくりを目指し、民間の立場から、仲間と「街をつなぐ防災情報マガジン『Standby』」を刊行しました。

街に住む人、勤める人、学ぶ人みんなで街を良くするアイディアを持ち寄り、自分たちの力で解決する場:「4. みなと学舎」については、「みなとフューチャーセンター」と形を変えて民間の立場で実施、「5. 社会起業家輩出特区」「7. 大使館物産展」については近々、もう少し具体的なご報告ができると思いますし、「18. 港区を環境先進区に」では、「地域冷暖房・コジェネレーションシステム」や「太陽光発電・オフグリットソーラーの導入」が実現しました。

自分発のプロジェクトとして実施したもの、またマニフェスト制作時からやや形を変えて実施しているものを合わせると、他の議員の方々とも協力しつつ、「20のアイディア」のうち、7つが既に実現、2つが実現に向けて動き出しています。また、「9. 街じゅう保育園」で目指す待機児童の解消については、私のみならず若手議員を中心に、様々な観点から提案しています。

■これから、実現したいこと。
…そんなこんなで中々上出来な議員生活の中で今一番にやりたいこと。それは、①オープンガバメント:行政が持つ情報を透明化し、利用しやすくした上で、民間が参入できる余地を増やしていくこと、それに、②若者をはじめこれまで参加してこなかった人々の、まちづくりへの参加の機会を増やすことです。

【オープンガバメント】
オープンガバメントとは、国民と行政の間の情報格差を解消するための透明化、インターネットを活用し行政に直接声を届ける市民参加、政府内および官民の連携という3つの基本原則のもと、行政が持つ公共データを公開するものです。これを導入することで、民間主導の公的サービスを充実させ、事業を多く抱える行政の負担を軽減することも可能です。

前述した通り、既に「区民の声センター」「区民の声データベース」という形で透明化の一部が実現されましたが、まだ緒に就いたばかりです。ところで、私がこれを特に進めたいと思った背景には、私が代表を務めるNPOグリーンバードでの経験があります。

国内外に43のチームを持ち、ごみ拾いや商店街の活性化、放置自転車防止のための啓発活動、農園の運営、被災地支援など幅広い活動を通じて「若者×街づくり」を実践しているこのNPOでは、365日、各地で若者がボランティア活動を行っています。行政が有償で人を雇ってポイ捨て防止の活動やごみの収集を行う一方で、私たちは無償で楽しく、「まちをもっと良くしたい」という一心で活動しています。

ふと目を転じてみると、こうしたNPOなり町会・商店会をはじめとした活動はまちにたくさんあり、企業の経済活動を通じての社会貢献の参入余地も考えると、行政が抱える課題さえ明示されていて、そこにアクセスしやすい環境が整っていれば、必ずしも行政が多くのお金を投じなくても民間の力で解決できる問題はたくさんあると思いました。

今、行政がどのような問題を抱えており、どのようなことに困っていて、どのようなところに民間が参入できる余地があるのかをつまびらかにするとともに、インターネットなども使って積極的に意見を求めていくこと(ここには双方向のやり取りが必要)、また、民間との恊働を積極的につくっていくことに政治や行政はもっと取り組むべきだと思います。

具体的な施策は、年明けにまた次々と提案していきますね。

【これまで声をあげて来なかった人とのまちづくり】
②も趣旨は近いですが、ここでは、最近のブログエントリーの「投票以外の方法で、政治を動かす6つの方法」に書いてあるようなことを、できるだけ多くの方に実践してもらうことに挑戦したいと思います。

先日の衆議院議員選挙の時に改めて思ったのですが、ふつうの生活者にとって、政治はあまりにも遠い。だから、いざ投票日に「判断しろ」と言われてもなかなかできないのが現状だと思います。

これは、一つには私たちが幼い頃から政治教育(シチズンシップ教育)をしっかり受けてこなかったためで、政治と自分たちの生活との関連性や、政治家の役割について、私たちの理解が十分ではないことも影響していると思います。政治の話題を出すことが、なぜかタブー視されてきた。

しかし、嘆いていても始まりません。体系だった「政治教育」の導入を進めるのと同時に、取り組むべきことはたくさんあります。その、私なりの答えの一つが、オンラインアイディアボード「Blabo!」や「みなトーーク」、「みなとフューチャーセンター」などの場を活用した、参加のハードルの低い「みんなのアイディアを政治やまちづくりの場で実現する仕組み」です。

これらの場においては、これまで政治や行政に主にモノを申してきた自治会や業界団体の方のみならず、若者を含めて広く一般の生活者が自分たちの身近なテーマで楽しみながら政治に意見を言い合い、まちづくりの現場でそれが実現される環境づくりを目指しています。

ソーシャルメディアの登場で、横のつながりがつくりやすく、①誰もが発案者になれる社会②協力や情報のシェアが人の価値とされる社会③社会的に良いことをすると褒められる社会において、みんなの声やアイディアを政治に活かさない手はないと思います。今は個人的な試みに留まっていますが、このような仕組みの活用をもっと一般化させていきたい。

【これからの政治家の役割】
これからの政治家に必要なのは、一部の人の声を聞いて、それをあたかも全住民からの意見のように主張するのではなく、「ファシリテーター」として、みんなの持つたくさんのアイディアを出しやすくする環境づくりだと考えています。政治や行政と個人が上下(下上)ではなく水平に意見を出し合い、互いに役割分担するようなシステムが必要です。

今、求められるべきものは「税金の使い方」ではなく「知恵の出し方」。「代表」を選挙で選んで終わりではなく、オープンガバメント等を通じて継続的に問題を共有した上で、有権者が常に意見を届けられる環境をつくり、政治のできないことを民間の力で行うことのできる社会を目指していきたいと思います。

そのためには、まず地方レベルで、顔の見えない層との輪づくりを行うこと。日常生活の中での政治の役割を認識してもらい、忘れないようにしてもらうための場とキッカケをどうやってつくっていくか。チャレンジしがいがあります。

詳細はまた追ってお知らせしたいと思いますが、来年は、議場のみならず、上記の目的を達成するための書籍の執筆やイベントの開催も積極的に進めていきます。

■最後に。
今年も一年間、本当にお世話になりました。

一期目のよちよち歩きの活動を温かくサポートしてくれている地域の皆さん、折に触れてアドバイスや活動場所を提供してくれる皆さん、たくさんの講演やイベントの機会をくれた皆さん、日々ツイッターやフェイスブックで「リツイート」や「いいね!」をくれる皆さん、博報堂時代の同僚、それに5名の学生インターン、1名の社会人スタッフ、たくさんの学生スタッフOBには感謝の気持ちでいっぱいです。

様々な形で、できる範囲で協力して下さる方々からのサポートがなければ活動が大きくなりませんし、これからもそうだと思います。ありがとうございました。そして今後とも、宜しくお願い致します。

皆さま良いお年をお迎え下さい!

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Twitter: @ecotoshi、Facebook:横尾俊成

政治・まちづくりを、もっと僕らの近くに。〜2012年の振り返りと決意 への1件のコメント

  1. ピンバック: 諦めたら、そこで終わり。〜新成人の皆さんへ | 港区議会議員 横尾俊成(横尾としなりの会)

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