博報堂を辞めました。政治を始めました。〜2011年の振り返りと決意


いよいよ2011年も終わろうとしています。皆さま、どのような一年を過ごされましたでしょうか?

私も今年一年、公私ともに本当にいろいろなことを経験しました。

年が明けたら改めて「こうしたい」というビジョンを掲げることにするとして、今日は今年に起きた様々なこと、また政治やNPO活動にかける思いについて、まとめてみようと思います。

博報堂を辞めました。

思えば、何も考えていなかった自分が国際問題を意識し、行動し始めたのは、9.11がきっかけでした。

当時は就活を控えた大学3年生。アメリカからの留学から帰ってきたばかりでした。友人の親類を亡くしたのにも関わらず、何もできない自分に嫌気がさしました。何も「武器」を持たない自分は、あまりにも無力でした

青臭かった私は「就活なんかしている場合じゃない」と感じ、イスラムを勉強するべく大学院に行きました。友人と学生団体をつくり、「世界学生会議」を開催しました。アフガニスタンやアメリカをはじめとした紛争地域に住む若者を日本に招き、1000人の若者とともに「自分たちが出来ること」やアクションプランを話し合いました。また、イベントをつくる過程でたくさんのNPO/NGOに出会い、日本にもスゴい団体がたくさんあることを知りました。

「せっかくのいいことも、それを伝える努力をしなければ、小さな運動や自己満足で終わってしまう。だから人もお金も集まらないんだ。」自分なりにNPO/NGOの問題点を考え、コミュニケーションという「武器」をもって、この業界を盛り上げ、社会貢献をブームアップしようと大学院を経て広告会社の博報堂に入りました。

博報堂で広告を学び、ソーシャルビジネスを志向する傍ら、「若者の社会参加のハードルを下げる」活動に可能性を感じ、後輩とともにNPO法人「グリーンバード」を始めました。持続可能な日本を残すためには、若者が立ち上がらなければならないこと、それに街には自分たちの居場所がたくさんあることに気付きました。

グリーンバードで活動する中で分かったのは、実は、「社会のために何かしたい」と考える若者はたくさんいるということでした。(世の中の2割はすでにボランティアなどをやっている人、2割は「そんなの偽善だ、関係ない」と言う人、残りの6割は「機会があれば参加したい」と思っている人です。)

みんながアクションしてこなかったのは、単に「機会がなかった」から。だとすれば、僕らは、「機会」をつくる努力をすればいいのではないか。そのためには、①フローレンスの駒崎さんや育て上げネットの工藤さんなど、「社会のために」を追求して活躍する人を増やすことして、②誰かが旗を振って始めた活動に簡単に「参加」できる仕組みをつくることが、何より必要なのではないか。そんなことを考えました。

正直、博報堂を辞めることについては、すごく悩みました。自分がやりたいことは80%くらい出来ていたし、同僚も面白くて刺激的な人たちばかりでした。傲慢かもしれないけどそれなりの結果も出していたし、相談した上司も多くは「残った方がいい」とアドバイスしてくれました。

でも、「自分の人生の100%を今取り組むべきものに費やした方がいい」「せっかく武器を手に入れたんだから、それを最も有効な方法で使いたい」「自分の気持ちに嘘をついてはいけない」という思いが強くなり、抑えられなくなったので、大きな未練を残し、博報堂を辞めました。グリーンバード事務局で7年後までに国内外に100チームつくること。そして全国に、街の人と若者の思いをつなげて形にする「街のプロデューサー」を100人つくることを決心しました。

政治を始めました。

それまで政治に全くと言っていいほど関心を払っていなかった私が政治を強く意識し始めたのは、グリーンバードでのまちの活動に加え、博報堂時代の業務で政治に関わったことがきっかけでした。政治を勉強し、歴史を学びました。そして政治の構造を知れば知るほど、「変えない」ことに為政者や行政の動機が働きやすい環境にあること、また世代間格差の大きな問題を意識させられ、私たち若者が動かないと日本は大変なことになってしまうことに気づきました。

超少子高齢社会たる日本が立ち行かなくなってきていることは誰もが気づいているのに、みんなで黙って見ている状態、またせっかく盛り上がってみんなで政権を交代したのにほとんど変化がない状態、そしてそれに何も抵抗できない状態が続くのは嫌だ。ならば、広告会社でマーケティングや生活者の気持ちを勉強してきた自分が政治家になって、内側から構造を変えていけばいい。次第にそんな風に考えるようになりました。

政治家はビジョンやあるべき社会を描くことが必要です。一方、これからの社会は、行政も民間もなく多くの人間が社会の中で役割を分担して、共につくっていくことが必要です。そのためには、先ほどの「社会のために何かしたい」という人々の気持ちをアクションに変えるサポートをすることが有効な手段と考えます。町会、自治会、消防団などの地域の人たちは、多くの経験や地域での力を持っているものの、人手不足に悩んでいます。一方の若者は多くのアイディアを持っていて、やりがいや手ごたえを求めています。

批判ではなく、アイディアで街を盛り上げること。そしてアイディアに「乗って」くれた方々とともに自分たちの力を最大限に発揮して、世界に伍せる街をつくっていくこと。自分も一人の「街のプロデューサー」になるべく選挙に立候補し、「港区を良くする20のアイディア」を掲げて多くの方々と議論を重ねました。仲間や、twitterやfacebookなどSNSで出会ったたくさんのスゴい若者、学生に協力してもらい、地盤・看板・鞄も何もないところから、お陰さまで当選を果たすことができました。

それから半年間、NPOその他の活動では主に被災地支援(仙台市若林区)や若者のキャリアサポート(電通と博報堂、合わせて7人が内定。他にもいろいろな企業に!)を、そして政治の活動ではまずは今の構造を知ることと「港区を良くする20のアイディア」の実現に向けた取り組みに、多くの仲間・スタッフと共にがむしゃらに挑んできました。

<港区議として半年間、取り組んで来たこと>

→以下のファイルをご覧下さい!

私がこの半年間、特にやりたかったのは、環境などの分野に起きている民間のイノベーションのサポートと起業家育成、それに、「gov.2.0」に向けた行政の情報公開と住民、特に若者の「参加」を促す仕組みづくりです。お陰さまで「マニフェスト大賞」も受賞することができ、既に多くの提案もしましたが、正直言ってそれぞれの取り組みはまだ緒に就いたばかりであり、本当に「これから」という状況です。来年以降の方針についてはまた年明けに語りたいと思いますが、やらなければならないことは、山ほどあります。

また、講演の依頼も積極的に受けました。特に印象に残っているのは、高橋歩さんと行ったトークイベント、山崎亮さん・イケダハヤトさん・加藤嘉一さん・田原総一朗さんらと共演したWorldShift Actions、神奈川大学での講義、慶應義塾広告学研究会や日本財団学生ボランティアセンター、ヒルズブレックファーストでの講演、それに500人以上の高校生を前にして行った都立高校での講演です。特に高校の講演では、普段は発言しない生徒もどんどん質問してくれたようで、何だかすごく嬉しかったです。半年間通った新渡戸国際塾では、グローバルに考えてローカルにアクションすることの大切さを改めて学びました。

ところで、NGO/NPOの業界と政治のそれに共通しているもの。それは、「スター」がまだまだ少ないことだと思います。

私は、これらの業界を盛り上げるため、またはこれらの業界が必要なリーダーシップを持つ人材を増やすためには、まず「カッコいい」リーダーをたくさんつくることだと思います。(新卒に1,000万円払えるNPOが日本でもどんどん生まれれば!高校生の人気職業ランキング:政治家をワースト3からベスト3にできれば!)それにはまず自分が動き、環境を整えること。12人に増えた(優秀な!)学生・社会人ボランティアスタッフと共に、少しでも若者が希望を持てる社会をつくるべく、気持ちを新たに取り組んでいきたいと思います。来年は本でも書きたいと考えています。

最後になりましたが、一年間、本当にお世話になりました。特に初めての選挙を支えてくれ、日々のNPO・政治活動を強力にサポートしてくれている仲間やスタッフ、また第6回までの「みなトーーク(カフェ等を利用して、みんなで街を良くする政策・アイディアを考える場)」に参加してくれたり、折に触れアドバイスを下さったり、SNSで「RT」や「いいね!」を下さったり、街の方を始め私の活動を応援して下さる方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。直接的にも間接的にも、いろいろとサポートしてくれた方々の応援がなければ今の私がいませんし、これからもそうだと思います。ありがとうございました。そして今後とも、宜しくお願い致します。

それでは皆さま、良いお年をお迎えください!

■ご意見、感想などいただけると嬉しいです。社会人・学生問わず、新しいスタッフも募集しています!(特にWEB系)→ Twitter: @ecotoshi, facebook: 横尾俊成横尾としなりの会

博報堂を辞めました。政治を始めました。〜2011年の振り返りと決意 への3件のコメント

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