先ほど、港区の成人式に参加してきました。純白の雪景色の中、1300人を超える方々が祝福されました。因みに、今年の元旦を20歳で迎えた新成人は122万人。団塊世代が20歳だった1970年ごろの約半分だそうです。
自分の経験に照らし合わせてみて、新成人の皆さんに一つだけ、伝えたいことがあります。それは、「諦めたら、そこで終わり。迷った時は、大きく動く時。」ということです。
■私が20歳だったころ。
私がちょうど20歳だったころ。自分にとって転機となる事件が起きました。「9.11」―そう、アメリカ同時多発テロ事件です。私はこの事件で、大切な友人の親戚を亡くしました。アメリカへの留学から帰ってきたばかりの頃でした。
それまでろくに勉強もせず、毎日飲み会ばかりしていた私は、「国際問題」「テロ」という自分とはあまりにも遠い存在にどうすることもできず、無力感に苛まされました。長い間悩み、仲間とも議論しましたが、解決策は見当たりませんでした。そして、圧倒的な知識力のなさを補うべく、大学院に進んでもう一度勉強し直すことにしました。イスラム社会学を学ぶためでした。ちょうど就職活動が始まるという時期の決断でした。
同時に、「頭で考えてばかりでなく、とりあえず動いてみよう」と国際問題の解決に取り組む様々なNGO・NPOの活動に参加しました。仲間と学生団体を立ち上げて、イラクやアフガニスタン、イスラエル、アメリカ、中国や韓国など紛争地域に住む若者を日本に呼び、議論を重ねるイベントを行いました。動いてみたら、様々な反響を得ました。NHKや朝日新聞の社説などにも取り上げていただき、続いて動く若者がたくさん生まれました。また、イベントをつくる過程で更に多くのNPO・NGOに出会い、日本にも凄い団体がたくさんあることを知りました。
■動いてみたら、見えてきた世界。
再び就職活動の時期を迎えた時には、自分が社会の中で成し遂げたいことがはっきり見えてきました。「せっかくのいいこともそれを伝える努力をしなければ、小さな運動や自己満足で終わってしまう。人とお金を集めれば多くの人の命を救うことができる。それには、プロモーションの力が必要だ。」―自分なりにNGO・NPOの問題点を考えた結果、コミュニケーションという「武器」を持ってこの分野を盛り上げようと広告会社の博報堂に入りました。
博報堂で広告を学び、今で言うところの「ソーシャルビジネス」を志向する傍ら、若者の社会参加のハードルを下げる活動に可能性を感じ、後輩とともにNPO法人グリーンバードを赤坂で始めました。まちの人に「よそ者」扱いされるのではないかと、はじめはかなり躊躇していましたが、動いてみたら予想以上に町会や商店会の方々が受け入れて下さいました。
■会社を辞め、政治家をはじめるという決断。
ボランティア活動を通じてまちに深く関わっていくにつれ、ここには自分たちの居場所がたくさんあることに気付きました。次第に、博報堂で身につけたプロモーションという武器はまちづくりの分野に活かせるという確信を持ち、順風満帆だった会社員生活を辞めて議員になることを決意しました。政治家一家でもなく、地盤・看板・鞄全てなく、給料も下がるし、選挙でいつ落ちるか分からない立場になることには家族をはじめ、多くの方から反対をされました。
Cf. 「博報堂を辞めました。政治を始めました。〜2011年の振り返りと決意」
また、何の知識もないままの初めての選挙は、分からないことばかりで、手伝ってくれる仲間にも多くの迷惑をかけました。時間と貯金はどんどんなくなっていくのに全くない手応えに焦り、更にはこれまで経験したことのなかった言われのない誹謗中傷も受け、うつのような状態になったこともありました。選挙の最中に東日本大震災が起き、被災した仲間のサポートのために現地の支援に明け暮れていた頃は、半ば諦めの境地でした。
それでも、仲間を信じて最後までやり切った結果、初めての選挙で当選させていただくことができました。政治家になってからも様々な不条理に戸惑うことが多々ありましたが、皆さんからのアイディアを日々いただき、お陰さまで多くのことを実現することができました。今は、政治や行政をオープンにした上で、これまで意見を発していなかった人も含めた多くの人たちがまちのために積極的にアイディアや知恵を出す状態をつくるべく、日々活動しています。
Cf. 「政治・まちづくりを、もっと僕らの近くに。〜2012年の振り返りと決意」
■諦めたら、そこで終わり。迷った時は、大きく動く時。
今、改めて振り返ってみて言えることは、9.11の後、就職活動時、それに選挙の時など様々な局面において何度も挫けそうになった時、諦めなくて本当に良かったということです。諦めて、あるいは途中で考えを辞めて周りの人と同じ行動をしていたら、今の自分はなかった。「諦めてしまう前に、打てる手だてを全部やってみる。それでも難しければ、それは自分がやるべきことじゃない」とは、そうした中で身に付けた私の行動指針です。
もう一つは、「迷った時は、大きく動く時」ということ。心が動かされ、迷うくらいの岐路に立たされた時は、自分が新しい道に進むチャンスです。間違いなく言えることは、未知の世界を知らぬまま終わってしまったら、必ず後悔するということ。そして、チャンスは、考えを辞めた時点ですぐにどこかへ行ってしまうということ。「9回失敗して、1回成功する」というノーベル医学・生理学賞の山中伸弥さんの言葉が正しいのだとしたら、動いたときの原動力は、9回の失敗など跳ね返してくれます。
■自分はまちや社会のために、何ができるのか。
今、日本は大きな閉塞感の中にあると言われています。私たちの未来には、解決するべき課題が山のように転がっています。そんな中、「政治はちっとも変わらない」「メディアはちっとも教えてくれない」と誰かの・何かのせいにして思考を停止してしまったら、今ある構造に絡めとられ、みんなで不幸になっていくだけです。
例えば、若者の投票率が低いという問題に対して、「どうせ行っても何も変わらない」「若者の意見に同等の重みを持たせるには(20代〜30代の90%が投票しなければだめだから)諦める」としてしまったら、今より悪い方向にはいっても、いい方向には決していきません。ならば、選挙以外で政治に圧力をかける方法を学べばいいし、90%の投票率を目指す運動を起こせばいいし、あるいは自分が政治家になればいいのです。
新成人の皆さんには、これから「自分がこの社会で何ができるのか」という視点を、いつも頭の片隅において行動して欲しいと思います。自分が何かの課題にぶち当たった時は、一方で自分のため、またもう一方で社会のためにとにかく小さく動いてみること。どんなことでもいい。身近なことからはじめてみること。たとえば、就職活動がうまくいかなかった人は、次の世代のために就職相談会を開くことからはじめてみる。環境問題に興味がある人は、まずまちのごみ拾いをしてみる。
既存の仕組みが様々な場面で機能不全を起こしている現状にあっては、先人の知恵を学びつつも思い切って変える方向で動くことが、時には大切です。
一方で、私たち大人には、彼らを受け入れる責任がある。これまでの考え方を崩すのはなかなか難しいけれど、彼らの新しいアイディアや考え方を取り入れ、企業や地域を変えていくことは、必ず将来の日本のためになります。何より、未来を生きる子どもたち自身のためになるのです。
新成人の皆さん、本当におめでとうございます!まずは家族や友人、地域で育ててくれた方々に感謝ですね。そして今日という一日が、皆さんにとって大きな一歩のはじまりになりますように!
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