これからの防災対策に関する8つの提案。


今日は防災・エレベーター等対策特別委員会。「港区地域防災計画」など、今後の災害対策の方針を決めるとても重要な事柄について真剣な議論が交わされました。

今回の計画には、私が兼ねてから提案してきた新しい防災対策も多数盛り込まれましたが、以下、本日私がした8つの質問・提案を列挙したいと思います。

1. 減債目標の設定を「ゼロ」とすること
今回改訂される予定の「港区地域防災計画」では、今後10年以内の達成目標を①死者の減:200人→80人(6割削減)、②避難者の減:51,313人→30,788人(4割減)、③全壊・焼失件数の減:2,410棟→964棟(6割減)としています。私が主張したのは、「行政としては、目標を『ゼロ』と設定し、そのためにあらゆる施策を導入するべき」ということでした。

港区の待機児童対策は現在、「待機児童ゼロ」を掲げ、そのためにあらゆる政策を検討・実施することになっています。同様に、住民の命に関わる問題については現実的な対応策の枠内で議論するのではなく、「ゼロ」を目指してあらゆる政策を誘導するべきと思います。その上で、区民の努力がないとできないこと、また行政ができる限界があればその旨を率直に伝え、民間に対策をお願いするべきでしょう。

2. ツイッターやフェイスブックなども含め、多様な情報伝達手段を確保して防災情報を発すること
これについては、私が昨年来指摘してきたこともあり、区としてもソーシャルメディアなどを積極的に活用し始めました。ただ、現在の情報は緊急的な災害情報に限られており、これでは効果が薄いと考えられます。なぜなら、生活者が普段から区が発信する情報を受け取ることに慣れていないと、いざという時に受け流してしまうからです。

東京都では先日、猪瀬知事が全ての部署にツイッターの日常的な使用を求めましたが、防災だけでなく日頃から様々な情報を発信し、受け取る訓練をしておくことは大切だと思います。「防災を日常の中にいかに溶け込ませるか」という視点も大事なポイントです。

3. 「災害時帰宅支援ステーション」の表示を明確にした上で、各施設の備蓄等の対策を明示すること
東日本大震災においては、首都圏で多数の帰宅困難者が発生しましたが、飲食店やコンビニなど、積極的に帰宅難民を受け入れたところもありました。都では、一定の施設に対して「帰宅支援ステーション」として協力を求め、次の災害時も受け入れるようにお願いしていますが、そうした事実は生活者に広く知られていません。

そこで、どこにどのような防災対策がなされていて、どれくらいの備蓄があるのか等まで示したステッカーをつくり、受け入れ場所に貼ったり、ホームページ等で告知したりする必要があると考えています。それぞれの事業者が、集客のためにも防災対策を競うようになったら素敵ですよね。

4. 「地域防災検定」を実施すること
現在、区では「防災士」の資格を取る際に、助成を行っています。しかし、「防災士」で身につける知識には一般的に他者を助けるのに有用なものが多い一方、自分自身を守ったり近所の人たちを助けたりするための具体的な方策が網羅されているとは言えません。

そこで、自分の住む(暮らす)地域で「(ひとまず)これだけやっておけば大丈夫」という具体的な対策を示した上で、それを身につけてもらうための検定制度を実施したら良いと考えました。

※これについては、「区独自の認定制度について検討していきたい」というかなり前向きな答弁をいただきました。

5. 消防団の訓練の中に、震災や災害時要援護者対策に対応したプログラムを入れ込むこと
防災対策においては、災害時、消防団には「地域を守るリーダー」としての役割を期待されています。しかし、現在の訓練では、初期消火などへの対策に限られています。

自分も団員として思うに、地域に住む人や暮らす人が日頃から交流をしたり、火災時の訓練を行ったりすることが有用な一方で、震災や災害時要援護者の救助方法についても、実用的な訓練を導入するべきだと考えます。

6. 災害時要援護者を救うため、新住民/事業者/若者を積極的に巻き込むこと
個人情報保護等の関係から、現在災害時要援護者は「手挙げ方式」で名簿に登録し、災害時には町会・自治会等がその名簿を持って対応することになっています。港区内では約9,000人がこの制度を利用していますが、本計画の改定案では、区として全ての災害時要援護者を把握した上で、優先度が高い方については関係機関に、そうでない方を町会等にお任せする形で救助することになりました。

どれだけ良い仕組みが整っていても、それが絵に描いた餅になってしまってはしようがありません。町会や防災住民組織が高齢化したり、その加入率が下がってしまっていたりする現状を鑑みると、新住民/事業者/若者を巻き込み、災害時、地域の防災リーダーとして動いてもらうことが重要になります。そのためには、今後のまちづくりには、古くからの住民だけでなく若者や事業者とまちの接点を日頃から如何につくるか、また彼らにサービスするかという視点も必要だと思います。

7. 避難所に無線LAN機器「Wi-Fi」を設置すること
これは、兼ねてから私が繰り返し訴えてきたことです。「Wi-Fi」は、東日本大震災時の通信手段として、ツイッターなどのメディアのみが機能したことなども踏まえると、確保しておくべき情報伝達手段の一つです。また別の機会に述べますが、観光や商店街振興などにも多いに役立ちます。

本計画に今回、初めて盛り込まれ、年度内に実現する運びとなりました!

8. 弁護士や税理士、土地家屋調査士などの専門家の相談窓口をつくること
東日本大震災後、被災地で起きたのは、幸いにも地震・津波の直接的な被害によっては命を奪われなかった人たちも、情報が十分に行き届かなかったことで二次被害を被ってしまったことでした。津波によって財産を流されローンを返せない、生活のすべを失ってしまったなどという声は、そうした状況から救済してくれる法律があることを「知る」ことで、本来なら多くが解決していました。

こうした問題を解決しようと弁護士会が立ち上がり、被災地に赴いて支援を続けたことについては、街をつなぐ防災情報マガジン「Standby」の記事でも取り上げましたが、弁護士のみならず、税理士、土地家屋調査士などの専門家にも今のうちから協力をお願いし、(日頃から)複数の相談窓口をつくっておくことが重要だと考えます。

…その他、今回の改訂では、東日本大震災やその後の我々議員による提案を受けて様々な部分が改善されています。

例えば、「一次避難所」、「二次避難所」、「広域避難場所」などいくつかあって分かりづらかった避難所の名称変更、帰宅困難者の一時受け入れ場所の確保、車道の空洞調査の実施、防災教育の推進、地域での防災リーダーの育成、女性の視点を取り入れた防災対策・避難所運営などです。

今後、パブリックコメント等も受け付けますので、「液状化危険度マップ」や「津波ハザードマップ」など、大切な情報も多数盛り込まれているこの「港区地域防災計画」をぜひ一度、読んでみて下さい。

ご意見等、お待ちしております!
■横尾としなりの会
http://www.facebook.com/ecotoshi.jp

これからの防災対策に関する8つの提案。 への1件のコメント

  1. ピンバック: 政治・まちづくりを、もっと僕らの近くに。〜2012年の振り返りと決意 | 横尾としなりの会|港区議会議員(無所属)

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