3.11/これからのこと。


「できる限り」を続ける。

東日本大震災から1年が経過しました。

この間、僕も何十回と被災地支援に足を運んできましたが、それがどれだけ役に立ったか分かりません。それでいいとは言わないけれど、そもそもベストな方法なんて誰も知らない。それに、政府などの大きな力がちっとも及ばない中で、僕たちが行った小さな活動が少なくとも被災地に住むおっちゃん・おばちゃんの力になったことは、それなりに意味があったと思っています。様々なプロジェクトを一緒につくってくれた仲間には、本当に感謝しています。

あの日から僕の生き方は大きく変わったし、ぱあっと騒いで終わらせるのが嫌だから、今日は色んなイベントを断って、事務所で粛々と作業をしています。防災に関する議会原稿づくり、被災地支援のプログラムづくり、次のイベントの準備、農家のおっちゃん・おばちゃんへの手紙…考えれば考えるほど、何をしていいのか分からなくなってくるけれど、いつも思うのは、「何もしない」ことだけは不正解だということ。だから、今ある縁を大切に、仙台、石巻、大槌、陸前高田、いわきと、東北にできたたくさんの友人とともに長く続くプロジェクトをつくっていければと思います。今年は福島にもどんどん行くよ!できる限り。

「自分たち」の頭で考え、つくっていく。

ところで、被災した友人が繰り返し言っていたことは、「防災訓練なんて全くあてにならない。大切なのは、自分たちで考えておくことだ」ということでした。被災した岩手県釜石市では、約3,000人の小中学生が生徒自身で判断して、避難場所よりも高い場所に移動するなどで津波を逃れたそうです。いわゆる「釜石の奇跡」ですが、これは奇跡なんかでは決してないと思っています。日頃の防災教育で教えられていた「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」の避難3原則を生徒が忠実に守った上で、当日の状況を見て考え、行動したからこそ臨機応変に対応できたのです。

防災教育に長年携わっている方が口を揃えて言うのが、「行政に頼り過ぎるな」ということです。防災対策について私たちはすぐ、区はどうなっているんだと問い、都や国の対応を批判する。もちろん、それも必要だけど、「ではあなたは?」と聞かれると答えられない。自らの「備え」については3.11後も相変わらず、ほとんど何もしていないのが現状です。つまり、行政に任せっきりで、主体的にはほとんど動いていないんです。

そこで行政は何をするべきか、それは、誤解を恐れずに言えば、市民をできるだけ突き放すことだろうと思っています。情報を徹底的に公開した上で、対策がまだまだ足りないこと、そもそも「絶対安全」を保障することなどできないという現実をつまびらかにすること。その上で、必要最低限の対策や災害弱者のサポートだけを確実にし、僕らが自発的に動ける環境づくりに専念するのです。

「 楽しく、動いてもらう」仕掛けをつくる。

今回の議会では、楽しく、ワクワクする仕組みで街の人に如何に動き出してもらうかについて、また防災教育・環境教育についていくつかのアイディアを提案したいと思います。オープンガバメントを実践した自治体が徹底的に情報を開示し、僕らがそれを利用する。若者が様々なアイディアで地域の新しいリアルコミュニティをつくっていき、彼らの力で便利な公的サービスが次々と開発される。そして、その恩恵をみんなが享受する。そんな街が理想です。そのための着実な一歩をつくるのが、僕に与えられた大きな仕事だと思います。

最後に、震災後に生まれたたくさんのヒーローを取り上げ、素敵な写真と文章を通じてグットアクションを応援しているプロジェクトをご紹介します。友人が現地への丁寧な取材をもとにつくったものです。ここには希望がたくさんあります!ぜひ。
→『i』3.11〜あの日から生まれた『普通のヒーロー』たちを額縁におさめるプロジェクト
http://www.i-311.com/

防災×コミュニティに関するシンポジウムは来週末です。コミュニティ・デザイナーの山崎亮さんやgreenz.jp編集長の兼松佳宏さん、NPO法人GoodDayの荒昌史さん、それに防災NPOのプラスアーツさんらと共に語ります。こちらも、ぜひ。
→「Tokyo Community Crossing〜あなたとつくるこれからの自治」紹介記事(greenz.jp)
http://greenz.jp/2012/03/11/tcc_part2/

2012年3月11日
横尾俊成 @ecotoshi

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>