「#ぼくらの政策」は、果たして”実行”できるのか?次の一手を地方議会の現場から考えてみた。(その1)


インターネット中心の選挙を展開し、一部の方からは大きな期待が寄せられた都知事選候補・家入一真さんの選挙キャンペーン。ふたを開けてみると、あてにしていた若者も多くは舛添さんや田母神さんなどに投票し、約9万票の得票にとどまってしまいました。

ただ、それまで原発賛成か反対かに争点が絞られてどこか置いてきぼり感を食らっていた人たちの間に、限定的であれ、「自分も選挙で盛り上がれる」「政治に参加できる」という空気を生み出したことは、大いに評価されるべきだと思います。

僕がなかでも注目したいのが、「#ぼくらの政策」という取り組みです。「声なき声」も含めた多くの方の声を集めて政策をつくる試み自体は、今後さらに重要になると思います。家入さんは、選挙期間中の短期間に、オンライン上で3万超の政策アイディアを公募し、専門家などの力を借りて120の公約にまとめました。この取り組みはネット選挙らしい取り組みとして紹介されていますが、本質的には、政治家ではなく、市民が主体となって自分たちのまちをつくろうとする試みです。こうした取り組みは従来の政治は行政や政治家に“お任せ”状態のガバメント1.0に対し、ガバメント2.0と呼ばれ、実は規模や手法の差こそあれ、既に地方議会レベルでは様々なところで行われてきました。

市民が主体となるガバメント2.0の可能性

千葉市は、ICTを活用して市民サービスの向上、市民主体のまちづくりの推進などを行っていることで有名です。

例えば、昨年実証実験を終えた「ちばレポ」という取り組みでは、市民がスマートフォンやパソコンから市内の地域課題を写真付きレポートとして投稿すると、行政が対応するのと同時に、市民と市との協働による解決の可能性について検討を行うということです。

同様の取り組みは他地域でも行われつつありますし、現職最年少として注目されている岐阜県美濃加茂市の藤井浩人さんは、オンライン上で市民のアイディアを集めることができる「みんなの企画会議室Blabo!」というプラットフォームを使って、「みんなの市長室」を開設。ここで出たまちを良くするアイディアを、行政の施策に活かしていくということです。

僕自身もこの「Blabo!」は港区議会議員になってからずっと使っていて、各種の政策提案に活かしてきました。例えば、若者の投票率を上げる施策のアイディアを問いかけてみたところ、156ものアイディアが寄せられました。そのなかで最も評価の高かったアイディアは、「区民がオンライン上に行政に対して実現してほしいことを書き込むと、実現までのプロセスが見える化されるシステムの導入」でした。提案したアイディアがどうなったかが開示されることで、区民がまちづくりに参画する醍醐味を味わうことができ、選挙にもより関心を持てるというものです。

「Blabo!」を受けて、この提案は実際議会でも提案しました。行政や議会などからの指摘や取り組みがあり、情報公開のあり方に関するプロジェクトが区役所内に立ち上がり、「区民の声データベース」事業として予算がつき、改善が行われました。インターネット上の声がときに実際の政策を動かすことは、すでに起きはじめているのです。

ネットの力を信じて普段から様々に取り組んできた若手議員や首長は地方にたくさんいるけれど、家入さんのキャンペーンはそうした試みにスポットを当てた効果もあったように思います。

一方、家入さんの得票数は、多くの方に同時に「インターネットの限界」をも感じさせてしまいました。すなわち、インターネットでの盛り上がりをリアルにつなげるのは、なかなか難しいのではないかと。この点については、次回掘り下げて考えてみます。(後編に続く)

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  1. ピンバック: 「#ぼくらの政策」は、果たして”実行”できるのか?次の一手を地方議会の現場から考えてみた。 | 港区議会議員 横尾俊成(横尾としなりの会)

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