最近ちょっと気になっているのは、巷に「◯◯世代飲み」や「学生(あるいは社会人)限定の交流会」がとても多いこと。twitterやfacebookでつながった同世代とリアルに交流し、それを通じて何か一緒に企てられる仲間を見つけられるなら、どんどんやった方がいいと思う。実際、僕も何度か参加して、いい出会いもあった。
でも、それ「だけ」で終わったら、すごくもったいない。僕が世代を超えた「タテ」の関係をススメる理由は3つある。
世代を超えると、学びがたくさんある。
最近、学生と話していると特に思うことだが、育ってきた時代が違うと価値観が根本的に異なっていると思う。ゆとり世代が「ゆとり」かどうかは別の議論だけど、少なくともその時代に生き、そういうレッテルを貼られると、意識や行動にどこか共通するものが出てくる。
それが自分より年上であろうと、年下であろうと、異なる世代の人間が集まる会に参加する時にかなりの緊張を伴うのは、「話が合わない」「ノリについていけない」「疎外感を感じる」ことへの恐れだと思う。実際、そうだし。でも頑張って食らいついて、話をしていくと、「なるほど、そういう(世の中の)見方もあるんだ」って驚かされることがたくさんある。
「最近の若者は…」という言い方でよく若者の特殊性が語られるけど、いつの時代も、若者はそういう風に語られてきたもの。即ち、いつも世代間には理解不能な部分があるということ。だからこそ、それが分かると自分の思考の「幅」が広がる。
世代を超えると、喜ばれる。
僕は職業柄、◯◯業界のお偉いさんのパーティやらお母さんの集まりやら、成人式のイベントやら、いろいろな集まりに顔を出す。そういう時に領空侵犯して、彼らの関心のあるトピックスに関するアイディアを話すと、とても重宝される。一つ目にも関連することだが、世代が違うだけでそれは「異なるものの見方」だから、新鮮に聞こえるんだと思う。
特に街には、僕らの居場所がたくさんある。町会や商店会の「青年部」が40代・50代などということは普通だから、専門性がなくても「人手」として活躍できる場はたくさんあるし(これはグリーンバードで学んだこと)、「若者をもっと街に呼ぶためのアイディア」でも出そうものなら、とても喜んでもらえる。そして、それは当事者たる僕らが一番得意な分野でもある。
もちろん、たまにヤカマシイだけのおじさんやオセッカイなおばさんに出会うこともあるけど、それ以上に、学ぶところが多い人たちがいる。気づきをたくさんもらえる。
世代間格差は、群れていても縮まらない。
最近、「世代間格差」が若者の間で話題の一つになっている。お正月の深夜にNHK教育テレビで放送された「新世代が解く!ニッポンのジレンマ〜震災の年から希望の年へ」は、同時間帯の瞬間最高視聴率を記録したという。
若者が集まって、格差や日本の未来を真剣に語り合うこの番組のクオリティはすごく高くて、僕も前のめりでディスカッションを聞いていたけど、最後だけ、どこか物足りなさを感じたのは「具体的な解決策」の提示の部分が薄かったからだと思う。(この部分は、もしあれば、次に期待したい。)
高齢者は若者の二倍、投票する。ただでさえ少ない有権者数なのに、ここに低い投票率が掛け合わされるから、若者の社会の中での発言力は圧倒的に低くなる。それもあって、実際、世の中の多くの「利権」は僕らより上の世代が持っている。
そんな時、若者に必要なのは、①行政が動かない分野で自ら新しいサービスをつくること②アイディアを行政にぶつけてオフィシャルな制度をつくること③発言し、投票して政治を動かすこと、だけではなくて、④若者のみで固まらず、僕らの上の世代ともっと恊働すること。世代を超えて議論し、思いを伝える努力をしたり、恊働して人間関係をつくっていったりしないと、物理的に低い僕らの声はやかましい「小鳥のさえずり」になるだけだ。
具体的な解決策は、今ある仕組みとの上手な付き合い方の中で有効に提示され、実行されていくんだと思う。世代で集まって理想の未来を語り、「バックキャスティング」していくのは大事だけど、一方でそれを現実的なものにするにはどうしても「今をつくってきた人の視点」と対話が必要だ。
「楽」に行かない。
ヨコにつながるのがすごく得意なSNS世代。その強みは活かしつつ、「楽」な方だけで終わらず、思い切ってタテにどんどんアプローチしてみよう。おじさんは意外と喜んで付き合ってくれるし、年下は意外と目を輝かせて聞いてくれる。 社会「全体」を良くするアイディアを持っていけば尚更のこと。ヨコが強くなった時代だからこそ、そこから更に生まれる上下のコラボレーションには、可能性がある。
ということで、今年のヨコオは積極的に、タテに行こうと思います。事務所に来てくれているたくさんの学生とどんどん外に出て行くけど、逆に話しかけてくれると、とても嬉しいです。
■ご意見、感想などいただけると嬉しいです。→ Twitter: @ecotoshi, facebook: 横尾俊成& 横尾としなりの会