環境に向きあう街、ボールダー副市長に学ぶ!ロハスな街づくり。

ボールダー市、街づくりのコンセプト

ボールダー副市長と横尾の対談

横尾 : 
まず始めに、ボールダー市の基本概念についてお伺いします。私はここに既に一週間近く滞在しているのですが、ボールダー市がとても環境に配慮して設計されていることに気がつきました。ボールダー市の行政は、人間と自然環境のより高いレベルでの関係づくりを重視しているのでしょうか?

ボールダー市副市長・ウィルソンさん : 
その通りです。ボールダー市はかなり長い間に渡り、環境に配慮してきています。その取り組みの一つが、いわゆる都市のスプロール現象を押さえるということです。スプロール現象が起こると、あらゆる方向に郊外型地域が広がっていってしまいます。我々は土地開発を、都市の境界線の中で行われるように制限して、境界線をあまり広げないようにしています。そうすることによって、多くの人をより小さな区域に上手にまとめることが出来るのです。日本の土地は大変限られているので、日本では同じような取り組みをずっと前から行っていますよね。しかし、アメリカは国土が広く、みんなが安く土地を買っては至る所に家を建てるので、効率が悪いのです。しかし21世紀になり米国でも、交通にかかるコストを減らして、人々をより小さな区域にまとめることが重要になってきています。そうすることで、空き地を農業やレクリエーションなどのために使えるのです。

我々が合理的な方法で都市を再開発することで、人々が住宅街を楽しんだり歩いたりしたくなるように、また空いたスペースを持てるようにするのが目標です。また同時に、より多くの人に都市の中心部を楽しんでもらいたいですし、公共のバスがより便利になれば、車を運転する回数が減るでしょう。スーパーにも歩いて行けるようになるのです。

横尾 : 
なるほど、効率を大切にしているんですね。電力の面でもそうかもしれません。街にはソーラーパネルがあふれていますね。

ウィルソンさん : 
はい。我々のもう一つの取り組みは、建造物(ビル)にソーラーパネルを取り付けることを促進することです。一般家庭でも屋根にソーラーパネルを取り付けやすくしています。それから、私が今、新しい会社と共に取り組んでいることのひとつが、「ソーラーガーデン」と呼ばれているものです。自宅の屋根にソーラーパネルを導入できる人ばかりじゃないですよね。例えば、大きな木が茂っていたり、屋根の方向が悪かったりしたら、ソーラーパネルは取り付けられないですし、アパートに他の住人と住んでいれば、ソーラーパネルを付ける場所なんてありませんよね。そこで考えたのが、10人以上、あるいは40人とか50人の人が集まって、他の場所でパネルを設置出来る場所や屋根を探して、より大きな太陽電池設備を設置してそれを利用するということです。これを許可する法律が、去年コロラド州で成立しました。だから、蓄える量、つまり電気量を増やすことができるし、この設備の一定の量の電力を使用するには参加者が利用を申し込めばよいのです。一つの場所により多くの太陽電池を設置した方が安上がりなので、効率もより良いですしね。それに、こうした大きな設備の利用を申し込むことで、人々は利益を得ることが出来ます。つまり、自宅の屋根にソーラーパネルを設置するのと同じように、他の場所に設置出来るのです。そして電力会社は、このような取り組みをネットメータリングと呼んでいます。

通常では、(電力会社から)電力を買ってそれを家で使っています。自宅にソーラーパネルがある場合は、太陽電池で供給された電力が通常の料金から差し引かれます。ソーラーガーデンの場合は、例えば30人が使っているとした場合、その人たちの電気料金が差し引きの対象になるのです。電力会社はソーラーガーデンから供給された電力量を調べ、それを使っている全ての人の電気料金からその分を差し引くのです。これはとても賢い考えですね。これを始めたのはコロラド州が初めてです。この取り組みは広く行われるようになると思います。私たちの会社(事業)は、この取り組みがより効率的になり全ての人がこれを採用できるように、法体系づくりを手伝っています。環境の取り組みにおいて、ソーラーガーデンという言葉が聞かれるようになるでしょう。これは太陽電池採用の効率的な方法です。

横尾 : 
すでにソーラーガーデンのサービスは始まっているのですか?

ウィルソンさん : 
法案は通過しましたが、今は州の組織である公共電力委員会が審査しています。委員会は電力会社を監督しており、現段階ではソーラーガーデンの設置の詳細や、それを設置する場合の電力会社が出す補助金額、ソーラーガーデンの利用者の動向などを規定する法体系づくりを進めています。ソーラーガーデンの第一号が来年の春から始まることを期待しているのですが、もうしばらく時間がかかるでしょう。

民間のアイディアが街を動かす

横尾 : 
こうしたサービスの促進には、多くの民間企業が関わっているのですね?

ウィルソンさん : 
はい。一般家庭の屋根にソーラーパネルを設置する会社、学校に設置する会社、州政府の建物に設置する会社など、多くの会社があります。ええ、だからこれは大きな事業ですね

横尾 : 
日本ではこうしたサービスは、まず行政が始めるケースが多いようです。行政がまず設計して、音頭を取るのです。でも、米国では、こうした街を全体で取り組む新しいシステムづくりを民間企業が始めて、行政が後から認めるケースが多いのでしょうか。

ウィルソンさん : 
そうですね。私はボールダー市の行政、ボルダー市役所は、環境に配慮した事業を行おうとする企業をサポートすることに非常に熱心だと思っています。しかし、企業に音頭をとらせているのです。我々は企業にインセンティブを与え、可能な時はサポートします。でも、実際の事業を行うのは大部分が民間の企業です。

横尾 : 
市民からの強い要請がそうしたサービスを生むのでしょうか?

ウィルソンさん : 
はい。市民の働きかけにより、他の都市も関心を持ち始めていますし、ソーラーガーデンに対しては多くの激励が寄せられているように思います。オーロラ市とゴールデン市の人々が我々と共に取り組んでいますし、デンバー市も関心を示し始めています。ですから、このアイデアを広めたい都市の数が、増え始めています。市役所の役目は、そのアイデアを広めることです。市役所は実際の事業は行いませんが、事業が行いやすくなるように手助けします。我々はボルダーやオーロラで、ソーラーガーデンについてのミーティングを行います。多分デンバーでも行うでしょう。取り組みは広がり始めているのです。

環境に配慮しようと心がける都市がますます増えていると思います。ですから、ソーラーガーデンも広まっているのです。これはとてもいいことですね。

横尾 : 
ボールダーはいつも新しいことを仕掛ける、最先端の街のような感じを受けます。

ウィルソンさん : 
その傾向がありますね。それがいい時もあれば、悪い時もあります。最先端(leading edge)と言う言葉を知っていますよね。それから、最前線(bleeding edge)と言う言葉もあります。ボルダーは最前線(危険を伴う)に立ってしまうこともありますが、何とかそこをくぐり抜けるのです。

横尾 : 
それがあなたの役割ですね!

ウィルソンさん : 
そうですね(笑)。

ロハスの発想で街をつくる

ロハス活動家の井沢敬さんのご紹介でお話させていただきました。

横尾 : 
あなたの「ロハス」に対する考えを簡単に聞かせてもらえますか?

ウィルソンさん : 
はい。米国民にとって、ロハスは持続可能な発展だと思います。私にとってロハスは多くの意味を持ちます。持続可能性やエネルギーだけの問題ではないのです。持続可能性やエネルギーの面では、我々はソーラーパネルを推奨しています。しかし、エネルギー節約がたいへん非常に重要なのです。私は都市が(クリーン)エネルギーを生成することより、エネルギーを節約することの方がより重要だと思っています。新しい家を建てる場合、エネルギー節約に細心の注意を払うことを定めた法律を成立させました。我々が現在考えているのは、どうすれば古い建物(ビル)の持ち主がエネルギー節約の設備を取り入れることが出来るようになるかということです。ビルを(エネルギー節約のため)改造するのに補助金を出すことを法制化することを考えていますが、もしこれがうまくいかない場合でも、持ち主にビルを改善するように求めます。市の行政が出来る大きな部分とは、エネルギー節約を促進することなのです。

そして、ボールダー市が長年に渡り取り組んでいるもう一つの大きなテーマは、ごみの減量です。ごみを埋め立て場やゴミ捨て場に積み上げるだけの方法は取りません。私たちの目指すのはリサイクルと堆肥づくりです。我が市には堆肥作りプログラムというのがあります。台所から出た野菜くずは捨てずに、袋に詰めておきます。そうすれば、それが堆肥になり良い土を作るのです。紙・カン・ビンのリサイクルも非常に進んでいます。リサイクルは市の政策の非常に重要な一部なので、市は設備に大きく投資しているだけでなく、ごみは堆肥用ごみ・リサイクル用ごみ・収集ごみの三つに分けて収集しています。そして収集ごみは小さく砕いて…。

井沢敬さん : 
そうそう、横尾さんがここに来た時、まず始めに僕は彼をリサイクル現場へ連れて行きました。リサイクルが難しい用品を回収する施設にも連れて行きました。そこでは粗大ゴミを課金して回収しているのですが、市民が積極的にお金を払う姿に横尾さんは感動していました。そこにはヨガマットといったものさえありました。

ウィルソンさん : 
これがわが市の持続可能性の大きな部分なのです。市民の活動を、環境の持続性・社会の持続性・経済の持続性の面から見ていきます。市の経済に注意を払うのも、我々行政の役目だからです。経済が健在で発展して、企業が繁栄している必要があるのです。これはとても大きな課題です。行政の行うこと全てを、環境の持続性・社会の持続性・経済の持続性という三つの持続性の基準で評価しています。

進化のために、受け入れるもの

井沢敬さん : 
ボルダー市は空き地を確保することに積極的に動いています。この制度を正式に取り入れるのが遅れましたが、シャトークアなどの他の都市ではかなり以前から行われていたと思います。

ウィルソンさん : 
アスペンのように丘の上までびっしり家が建っている所はあまりよくありません。ボルダーではアスペンのように住宅が密集していないので、とても快適です。

横尾 : 
どうして市民は家を密集させないことを選択しているのでしょうか。

ウィルソンさん : 
そうですね、市民はここが美しい場所だと知っていて、美しいまま残してあまり多くの変化を望まなかったせいじゃないでしょうか。現在問題となっているのは、市の繁栄のためにはどれだけの変化が許されるかということです。ご承知の通り、これ以上のビルはいらないから何もするなと言う人たちがいます。しかし私は、それは間違いだと思います。私が思うに、都市が同じ状態であるためには変化を受け入れなくてはならないのです。つまり、町が100年前の形のままで凍りついていたら、ボールダラード (Boulderado)も他の美しい見どころも生まれなかったでしょう。ここで重要になのはバランス、つまり、昔からあるものを大切にしつつ、ただの時代錯誤にならないように変化を受け入れるバランスです。停滞した都市は最後には収入を失い滅びていくでしょう。ビルの建て替えや改築も不可能になるのです。ボールダー市は息をして生きなければなりません。だから、押したり引いたりの駆け引きが行われているのです。市は進化し続けいますが、過去を守る事と変化を受け入れる事のバランスに気を配りながら進化しているのです。だからとても面白いのです。

井沢敬さん : 
横尾さんはダウンタウンの商店会の会長さんにも会ってきました。そこで彼は、ダウンタウン全てにWi-Fiが敷かれたことに驚いていました。ボルダー市は、現在、市全域でのワイファイを促進しているのですか?

ウィルソンさん : 
これはとてもよい目標だと思います。これは経済を活性化させるのに役立つので、是非とも進めるべきプロジェクトだと思います。最終的にはあなたはお店を持てるかもしれないですよ。例えば、私はここにいます。あなたのすぐ近くです。もしあなたがショッピングモールで電話かなんかを持って座っているとします。私はあなたから靴とかそんなものを買うことができるのです。いろんな応用法があります。プロジェクトは時間がたてば元が取れて、しかもとても役に立つものになるでしょう。

井沢敬さん : 
日本はこれとは別の道を歩んでいるのかもしれないですね。日本人は携帯派ですし、日本での携帯電話会社の勢力はとても大きいですから。私は以前、和歌山県の田辺と言う小さい町に行って、リゾートホテルに泊まったんですが、そこにはインターネット接続もビジネス設備もなかったんです。私は、これは信じられないことだと従業員に言いました。そうしたら、お客様はここにビジネスではなく休暇で来ているのだと言われました。「それならお客はネットにどうつながっているの?」と更に質問したら、「お客様は全員携帯をもっているので、チケットを注文・予約など 必要な事は全て携帯で出来ます。」と答えがかえってきました。これは日本独特だと思います。でもこれは多少成長を妨げる要因になっています。

ウィルソンさん : 
携帯のネット接続速度が米国より早いから良いのだと思います。でも、どれぐらい早いのか知らないので、Wi-Fiと比較してよいのか、よくはわかりません。論点は、Wi-Fiが必要か、それともネット接続速度の速い携帯、データ処理の速い携帯が必要か、ということでしょう。妥協点がどこにあるのかはわかりませんが、米国の携帯電話サービスは日本ほどよくありません。ネット接続速度はかなり遅いのです。

環境が経済を引っ張っていく時代

横尾 : 
ところで、私が気付いたのは、ボールダーでは環境と経済が両立されているということです。今、ボールダーでお金を稼ぎたければ、何かしらの環境サービスを始めることですね。

ウィルソンさん : 
問題は、そうした状況をどうつくるかですよね?まず臨界量の企業をある地域に誘導するのです。このやり方で、ボールダーではありとあらゆる種類の環境ビジネスに成功しています。一定量を誘導して、彼らを宣伝・サポートすれば、彼らが又新しい仲間を連れてきます。これは市の行政サービスの一部だと思っています。環境ビジネスに関わる多くの人が、レクリエーションを求めています。自転車専用道路や走ったり歩いたり出来るレーン、質の良いスポーツジム設備を求めています。こうした設備は、他の業界より環境ビジネス業界の経営者たちにより役に立つと思っています。ボールダーではこうしたレクリエーション活動や設備がたくさん利用出来ます。環境ビジネスの経営者たちが仕事の休みの日にやりたいことが、たくさん出来るのです。だから理想的な人たちが町へやってきます。面白いビジネスを仕掛けたい若い経営者で、生活も楽しみたい人たちです。彼らが住みたいと思う町は、健全な環境が整い、健康な生活が保証され、活気にあふれた町なのです。また、ボールダー市はここ数年の間、自転車専用道路の整備に大きな力を入れています。これも役に立っていると思います。

実際、私は12月初旬にオーストラリアで行われる会議に招かれているのですが、この会議で話しあわれるテーマはより大きな経済発展です。主催者はボールダー市の成功を勉強するために、わが市の参加を要請しました。ボールダー市のような規模の都市をオーストラリアで実現するためにはどうしたらよいのかを学びたいのです。だから私はこのインタビューと同じようなことを話そうと思っています。

井沢敬さん : 
それはすごいですね。

ウィルソンさん : 
近い将来、ボールダーは「ソーラーパネルの町」と認知されるのかも知れませんね。人がその名前を聞いたらすぐにイメージがわくようなシンボルが、それぞれの都市に必要だと思います。ボールダーのようにそれがレクリエーションであったり、他の都市では芸術の町であったり、何でもいいのです。焦点を決めて、その方向に流れを作って、何がそれを裏打ちしているのか考える、そういったことですね。

横尾 : 
経営者が新しくビジネスを始める時、何かしらのサポートしているのでしょうか?何か具体的な施策はありますか?

ウィルソンさん : 
市の行政の一部に経済開発のチームがあります。女性が一人と、ボールダー経済の活力源である――私たちは経済活力源と呼んでいます――この女性を支えるスタッフが何人かいます。市行政のスタッフが、経済活性化のため民間部門と協働しているのです。彼女はとても優秀で、他の人たちも多く巻き込んでいます。経済活力源、つまり市の行政と民間部門が協働しているのです。あまりお金をかけずに、しかし何人かの優秀な人材が行政と民間部門の協働のために働くのは、とても重要なことだと思います。

井沢敬さん : 
ティム・ブール(Tim Bour)が率いるNPO「ボルダー・イノベーション・センター」と呼ばれているグループもありますね。彼らのところには、金融分野や新しい事業の立ち上げといった分野での経験を持つたくさんのメンター(個人教授)が登録しています。市の行政は彼らに補助金を出しているのでしたっけ?

ウィルソンさん : 
補助金を出しているのは、市や州政府、それから民間企業も援助しています。大変嬉しいことに、補助金のネットワークが出来ていて、コロラド大学とボールダー市とも密接につながっています。

副市長のこれからのビジョン

副市長、井沢敬さん、本当にありがとうございました。

横尾 : 
少し、個人的な質問をしてもよろしいでしょうか?

ウィルソンさん : 
どうぞ。

横尾 : 
そもそも、どうしてあなたは政治の世界に入ったのですか?どんな問題を解決るため、あるいは解決したかったのですか?

ウィルソンさん : 
私がボールダー市の政治に関わるようになったそもそもの理由は、私の住んでいた地域のためです。私は大学の近くに住んでいるのですが、大学の学生たちが飲酒して夜中に破壊活動や喧嘩をして多くの問題を起こしていたのです。それで近隣が集まって町内会を組織して、私は町内会のため市議会にロビー活動をするようになったのです。私は市議会議員全員と顔見知りになり、問題を話し合うために議員を町内会の会員の家に招待したりもしました。そのうちの何人かの議員と非常に親しくなり、私も市議会に立候補しようと思っていたのです。でも市議会議員の一人から、再選のための選挙活動を手伝ってほしいと頼まれました。こうして彼の選挙活動の責任者となり、彼は再選されて四年の任期を務めることになりました。その後、私は水道委員会に任命されて、市の水道供給に関わりました。

私が再選を手伝った議員は、現市長であるマーク・ラジン( Mark Ruzzin)でした。その後に選挙が行われて、彼は再出馬しないことになりました。他の大変優秀な議員たちも何人か出馬しないことになりました。そうした議員が、「ケン、君が出馬するべきだよ。市議会には優秀な人間が必要だから。」と私に声をかけてくれました。

だから解決すべき問題は一つじゃなかったのです。私はボールダー市を上手に管理して運営したかったのです。一つの問題にこだわる議員候補は、よくないと思います。歓迎されるのはより広い問題の知識を持った候補者です。そうした候補もいくつかの焦点を持っているかも知れません。しかし、一つの問題にこだわる候補は必要ないのです。市では様々なスタッフが働いていて、議員になったなら多くの事項に決定を下さなくてはならないのです。一つの問題だけに関わることはできません。だから私は市議会に出馬することにしました。説得されて出馬した、それが全ての始まりですね。

横尾 : 
今後、特に注力して取り組みたいことを教えていただけますでしょうか?

ウィルソンさん : 
現在我々が非常に力入れているのは、再生可能なエネルギー(自然エネルギー)です。ボールダーの電力のより多くの部分を、石炭やガスの代わりに自然エネルギーから生成された電力でまかなうという考え方に、市は大きな関心を寄せています。これは大きなターゲットです。簡単な解決法はありません。簡単な解決法があると考えている市政関係者もいますが、簡単な解決法はありません。それはとても複雑なプロセスで、私のやりたい計画の一部は斬新過ぎるかもしれません。ボールダー市はいくつかの取り組みで先導者ですが、時々先を行き過ぎて他の人を戸惑わせてしまいます。そうして人々は、「ここは人民共和国か?我々にはできない。」と思ってしまうのです。ボールダーがあまりにも先を行き過ぎることは望みませんが、他の都市を引っ張っていけるぐらいの先導的役割をボルダーが果たすことは望んでいます。そうすることで、州レベルで影響を与えることが出来ます。馬鹿げた事をやり過ぎても、誰も後には続きません。我々が目指すのは、先進的でも他に配慮した事を推進することです。そうして、ゴールデン市・オーロラ市・デンバー市が同じような取り組みをすることのきっかけを作りたいのです。我々があまりにも奇抜な事をしたら、「あれはボールダーだからやるんだよ。我々には出来ないね。」と言われてしまいます。しかし、先進的でも他に配慮をしたことを推進したら、「これはいいね。ボールダーもうまくやったな。」と言われるのです。

井沢敬さん : 
アルファルファのようにボールダーで30年以上も前に設立された会社は、当時はヒッピーたちがマリファナを売っていると人々から見られていたけど、今はメインストリームになっている。だから多くの人たちがボールダーを目指すんですね。

ウィルソンさん : 
その通りです。そして自然エネルギー発電においては、それをサポートする政策が必要ですが、それを促進することで市の経済を破綻させることは避けなくてはなりません。中間点を探る必要があるのです。政策を行うことで市政を傷つけてしまったら、そこに人は集まらないでしょう。バランスが大切なのです。

井沢敬さん : 
ロッキーマウンテン協会(Rocky Mountain Institute)というグループと、もう一つ自然資本主義ソリューション(Natural Capitalism Solutions)と呼ばれているグループがあります。ロッキーマウンテン協会は、ニューヨークのエンパイアーステートビルの電力節約のためのコンサルティングをしていました。確か、一年で400万ドルの電力料金を節約しているそうです。多くの窓を変えなくてはならず、ラミネート層を導入したようです。とにかく多くのことをしました。そうしたら、電気料金が下がりました。

ウィルソンさん : 
彼らは今、とてもよくやっていますね。

ボールダー市と港区が連携?

横尾 : 
今回のインタビューで、私たち日本人はボールダーから多くを学ぶべきだと確信しました。もし我々が望むような暮らしがしたければ、我々自身で決断をして自ら行動しなくてはならない、ということですね。

ウィルソンさん : 
私もあなたがた日本人から多くを学んだということを言いたいですね。私にも日本に借りがあります。

横尾 : 
最後に、ボルダー市が私の住んでいる港区と将来何かしらの関係性を持つことは可能でしょうか?

ウィルソンさん : 
ええもちろん。もしかしたら私たちが助け合えることがあるかも知れませんね。確かにありそうだ。

井沢敬さん : 
港区は東京の中でも主要地域の一つで、そこではあのリチャード・フォイさん(建築家)や他の有名人が働いているんですよ。多くの面で日本の中心点であり、たくさんの外国人も集まっていますね。

ウィルソンさん : 
日本の公共施設、電力発電施設(電力会社)とパイプを持ちたいですね。ボールダー市の行政や経済界と良好な関係を持つのが最善かもしれませんね。また連絡を取り合いましょう。

横尾 : 
今後とも、よろしくお願いします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。