生きものの視点で考える。(JT生命誌研究館館長・中村桂子氏の講演:備忘録)


6月から、「新渡戸国際塾」というところに通っています。

魅力的な講師の方とのディスカッションを通じて、「異なる文化や価値観が共存する、平和で豊かな社会を実現するために、私たちはどのような貢献ができるのか」(新渡戸国際塾HPより)、多様なバックグラウンドを持つ塾生と思考しています。

第9回の講師はJT生命誌研究館館長の中村桂子氏。「生命を見つめ直す:グローバルな課題に立ち向かうために」というテーマで、3.11後の世界、またこれからのヒトの可能性等について様々な角度からディスカッションしました。

とても得るところが多かったので、以下に備忘録を記したいと思います。

●「3.11で私たちが改めて気づかされたのは、金融市場原理と科学技術で人間がしてきた以上に、自然が強い破壊力を持っていたということ。結局、私たちがヒトを壊してきたのだということ。」

●「小さなアリの中にも私たちの中にも、祖先から伝わる同じDNAが入っている。38億年という『時間』と他の生物たちとの『関係』の中に私たちが在る。私たちは、自然の内にいる。」

●「再生可能エネルギーは経済論・技術論で語るのではなく、生きものの観点から考えるべき。食べもの(農業・水産業)、健康(医療)、住居(林業)、心・知(教育)、環境など生命に関わるものが今、ことごとく問題を抱えている。」

●「生きものの営みをベースに我々が文化を築いていること考えると、日本においても既に人の数は多すぎると言える。全て量を増やすことだけで問題を解決しようとしてはいけない。」

●「東京の一極集中は便利だが、そこで形成した世界観・価値観だけを持って暮らすのはいけない。例えば、大阪で活躍している人はたくさんいる。東京のことはメディアでずっと報道されているから、大阪に住むと二つの眼が持てる。複眼でなければ構想力は持てない。」

●「『選択と集中』は本当に必要なことなのか。それは、他の芽をつぶすことにつながり、結果的に、人間全体の質を落としてしまっているのではないか。」

●「効率や結果ばかりで『プロセス』を評価していないのは、『生きている』を評価していないのと同じ。」

●「既存のシステムの中で動くことに慣れていて、我々は『本当の』という問いを忘れている。決め付けで社会をリードしていこうとする人が増えすぎているのではないか。」

…もの凄い量のインプットをいただきました。きちんと噛み砕いて、今後の思考に活かしたいと思います。

生きものの視点で考える。(JT生命誌研究館館長・中村桂子氏の講演:備忘録) への1件のコメント

  1. 中山 より:

    こんにちは、はじめまして。中山と申します。
    私も本日参加拝聴させていただきました。
    塾公開講座は凄く久しぶりの参加でしたが今日参加できて良かったと思いました。私も質問したかったのですが、勇気がないのと(笑)あまりに哲学的というか宗教的話しになってしまいそうで控えました。時間があっという間で私としては具体の話しなどもじっくり聞きたかったです。
    中村桂子さんの話しというか思想は全くもって異論がなく自分の考えてを代弁してくださっているようで嬉しかったです。
    全て心に残っていますが一つあげるとしたら「(エネルギーの)地産地消」についてです。改めて危機感を感じましたね…。
    では、私も今後塾公開講座参加してゆくので、よろしくお願いします。

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